「どれだけ使ったかわからない」現場の一言から始まった在庫DX

現場在庫DXシリーズ①

どれだけ使ったかわからないんです

在庫管理の相談を受けたとき、最初に聞いた言葉がこれでした。
話を聞いてみると、発注は経験と感覚で決められており、現場でどれだけ材料を使ったのかも分からない状態でした。さらに、廃棄の記録はなく、期限切れの材料が倉庫に残っていることもあるとのことでした。

最初は「在庫管理システムを作る話」だと思っていました。しかし、実際に現場の状況を整理していくと、問題の本質は在庫の数ではありませんでした。問題は、材料の流れが記録されていないことでした。

この記事では、小さな会社でよく起きるExcel在庫管理の問題と、
材料の流れを整理する「現場在庫DX」の考え方を解説します。

目次

在庫管理の問題は「数量」ではない

在庫管理というと、多くの人は「在庫数」を管理することだと考えます。Excelなどで在庫数を入力して管理している会社も多いでしょう。しかし、実際の現場では材料は単純に「存在している」わけではありません。必ず流れがあります。

例えば、材料には次のようなイベントが発生します。

入庫
出庫
使用
返却
廃棄

このイベントが記録されていないと、在庫数だけを管理しても必ずズレが発生します。これは小さな会社だけではなく、多くの現場で起きている問題です。

小さな会社で起きる在庫管理の問題

今回の現場でも、よくある問題がいくつかありました。

使用量が分からない

材料は現場で使われますが、実際にどれだけ使ったのかが分かりません。そのため、発注は担当者の経験と感覚に頼ることになります。結果として、在庫が余ったり、逆に足りなくなったりすることが起きます。

廃棄が見えない

現場では、破損や劣化、期限切れなどの理由で材料が廃棄されることがあります。しかし、その廃棄が記録されていないと、在庫数だけが帳簿上に残ってしまいます。これも在庫が合わなくなる原因になります。

期限管理ができない

塗料や溶剤などの材料には期限があります。しかし、いつ入荷した材料なのか、どのロットの材料なのかが分からない状態では、期限管理はほとんど不可能です。

在庫管理は「イベント管理」で考える

今回整理したのは、材料の流れでした。在庫管理を「数量」ではなく「イベント」で考えると、状況がかなり整理されます。

入庫

会社在庫

出庫

持出中

返却 / 使用 / 廃棄

このように材料の流れを整理し、それぞれのイベントを記録する仕組みを作ることで、在庫の状況はかなり見えるようになります。

システム化より先にやるべきこと

今回の在庫管理でも、最初に行ったのはシステム開発ではありませんでした。
まず行ったのは、材料がどのように動いているのかを整理することです。

在庫管理の問題は、多くの場合「ツール」ではなく「業務の流れ」にあります。業務の流れを整理してからシステム化することで、無理のない仕組みを作ることができます。

次回

次の記事では、小さな会社の在庫管理をどのように整理したのか、実際の業務フローを元に解説します。

現場在庫DXシリーズ②
小さな会社の在庫管理は「数量」ではなく「流れ」を整理する

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